刊誌『SKETCH PRO』創刊おめでとうございます。ベトナムで働く日本人ビジネスマンのお役に立てる、ベトナムの会計および税務に関する情報をご提供して参ります。
今回から第4 号までは、ベトナムで働く皆様に関係する、ベトナムの個人所得税(以下、PIT)を解説して参ります。

PIT は、①居住の状態と②所得の源泉を基礎に、個人を対象として課税されます。PIT 税額に大きく影響するのが①です。ベトナムのPIT 法に居住者判定基準があり、個人はベトナム居住者またはベトナム非居住者のいずれかに区分されます。その区分により税率および課税対象となる所得の範囲が異なります。

ベトナム居住者と判定されると、全世帯所得に関し0 ~ 35%の税率で累進課税され、ベトナム非居住者と判定されると、ベトナム源泉所得に関してのみ一律20%の税率で課税されます。
PIT 税額の計算に当たり、日本の所得税法同様、ベトナムのPIT 法においても「課税所得」「非課税所得」「免税所得」「所得控除」「税額控除」が規定されていますが、内容は各国の税務政策が反映され、異なる点があることに留意が必要です。

PIT は暦年(1 月~ 12 月)が課税対象期間であり、月次または四半期の申告および納税の必要があります。さらに、ベトナムには年末調整による確定申告不要の規定はなく、暦年の確定申告は毎年3 月末日までに行う必要があります(なお、入国初年度は、確定申告時期がそれぞれ異なることがありますのでご注意下さい)。さらに、ベトナムで働く個人は、納税者番号(Tax code)を取得する必要があります。
次号は、居住者判定基準について解説して参ります。

津田 栄治
Tsuda Eiji
AGS ハノイ事務所に勤務する日本国公認会計士試験合格者。住宅メーカー・商社で海外駐在。メーカーでの経理を経て、2013 年より現職。法人設立、会計税務などを担当。
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