【ベトナム税務・会計】個人所得税における
免税所得と非課税所得
EY大手会計事務所のベトナム事情 No.015
EYベトナムの小野瀬です。第15回の対談は、日系企業担当ディレクターの原田潤一さんです。
小野瀬 今回はベトナムの個人所得税における免税所得と非課税所得ついて、お話を聞かせてください。まず、免税所得と非課税所得はどのような違いがあるのでしょうか?
原田 はい。免税所得と非課税所得のどちらも課税所得には含まれない点で、個人所得税の計算上は同じです。ただし、免税所得は、当局への申請が必要な場合があるのに対して、非課税所得は、手続きは一切必要ありません。
小野瀬 具体的にどのような所得が該当するのでしょうか?
原田 はい。まず免税所得には、夫婦間、親子間等親族間の不動産の相続または贈与による所得が該当します。その他、個人がベトナムで唯一所有する住宅および居住用の土地所有権を譲渡した場合の所得も免税となります。
非課税所得の要件にご注意を
小野瀬 非課税所得はどのようなものがあるのでしょうか?
原田 雇用契約等に基づく赴任手当や、私用による一時帰国の際の往復航空券代(1年につき1回限り)があります。それから、ベトナムにおける幼稚園から高校までの子どもの学費についても、非課税となります。ただし、会社が直接学校等に支払う場合のみが非課税となり、本人に手当として支給される場合は課税対象となります。その他駐在員の個人所得税計算に関係する論点として、駐在員の住居を会社が貸主と直接契約した場合に限り、家賃の実費額、または総課税所得の15%のいずれか低い金額が課税対象額となります。会社が家賃を負担するにもかかわらず個人で賃貸契約をしてしまうと、全額が課税対象になってしまいます。
小野瀬 学費の支払いや住居の契約は会社が直接行う必要があるんですね。新規赴任者が多いこの時期は注意が必要ですね。
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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