賢者の税務・会計術 vol.015

活動するために重要な年次活動報告書

こんにちは。AGS貝沼です。駐在員事務所の活動内容に対する規制は厳しくなる傾向にあり、コンプライアンスを無視した活動には多くのリスクが潜んでいます。今回は、駐在員事務所活動上の注意点に関して案内いたします。

年次活動報告書とは、商工省規定の書式に基づき、当該年度の活動内容を報告するものであり、毎年1月30日までに当局に提出する必要があります。

内容は、①駐在員事務所の基本情報、②従業員情報、③当該年度の活動内容、④当該年度活動の全体的な評価、となっており、それほど作成に手間の掛かるものではありません。

2年連続で年次活動報告書の提出を怠った場合や、権限機関からの要求に対して6ヶ月以内に提出しなかった場合は、政令07/2016/ND―CP第44条により、駐在員事務所ライセンスの登録抹消が規定されています。

規定が守れないと事務所閉鎖の場合も

実際に、罰金やその他費用による金銭的解決ができず、年次活動報告書の2年連続未提出を理由に、駐在員事務所の閉鎖決定を受けたケースがいくつかあります。

また、駐在員事務所は直接的な利益獲得活動を行わないことを前提に、活動維持のための本社からの必要経費収入を含め、法人所得税は非課税とされています。

一方で、ベトナム法人所得税法においては、駐在員事務所が法人所得税の納税義務者ではないという明確な規定はありません。このことから、駐在員事務所がその活動範囲を超えて、直接的な利益獲得活動を行った場合、法人所得税法上の納税義務者とみなされ、法人所得税の課税を受ける可能性は否定できません。あるいは、駐在員事務所が本社の事業活動を行っているとみなされ、本社が外国契約者税の課税対象となる可能性も十分に考えられます。

活動報告書未提出による閉鎖処分をはじめ、駐在員事務所は種々のコンプライアンスの違反リスクがあります。対策について一度専門家にご相談されることを推奨いたします。

貝沼 義斗
AGSハノイ事務所勤務。官公庁での税務業務、青年海外協力隊を経て、2018年より現職。ベトナム語を猛特訓中。
A. I. Global Sun Partners JSC
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