賢者の税務・会計術 vol.017

各種書類提出が必須中間配当は不可

こんにちは、AGSの貝沼です。ベトナム子会社から親会社への利益還元方法の1つとして、配当金の国外送金が考えられます。

国外送金が厳しく管理されているベトナムでは、配当金を国外送金する際も一定の要件を満たす必要があります。今回は、配当金を国外送金するための要件と実務上の注意点についてご案内します。

通達186/2010/TT―BTCによると、配当金を国外送金するための要件として、

①監査報告書を税務署へ提出していること ②法人所得税の確定申告を終えていること ③納税義務が完了していることなどが定められています。

加えて、企業は配当金を国外送金する7営業日前までに同通達に定める国外への利益送金に関する通知書へ獲得した利益および国外への送金額を明記し、税務署に提出する必要があります。

また、配当可能額に関しては、監査済み財務諸表の税引後利益および利益余剰金から再投資金額を控除した額と定められています。

これらの規定により、配当金を国外送金するには、監査報告書の提出や、法人所得税の確定申告を終えている必要があるため、中間配当はできないと考えられています。

配当可能額の計算や書類作成は専門家へ

注意点として、単年度で利益が出ていた場合でも、累積損失が残っている場合は、配当金を国外送金することはできません。

また、企業へ配当金を国外送金する場合は源泉徴収の規定はありませんが、個人投資家へ海外送金する場合は、5%の源泉徴収をする必要があります。

配当金の国外送金は、書類の作成や配当可能額の計算に専門的な知識が必要となるため、もし配当金の国外送金を検討中の方は、事前に専門家へ相談されることをおすすめします。

貝沼 義斗
AGSハノイ事務所勤務。官公庁での税務業務、青年海外協力隊を経て、2018年より現職。ベトナム語を猛特訓中。
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