【ベトナム法律】タクシーVS配車アプリの行方は?
越の国の法律相談 No.018
両者の訴訟問題はいまだ解決せず
2016年にパイロット事業(当初2年間、その後1年延長)として開始された配車アプリサービスは、あっという間に市民生活に定着し、タクシーと配車アプリの競争はますます激しくなっています。2018年には、大手タクシー会社が、配車アプリサービス会社に対して、訴訟を提起しました。
原告のタクシー会社は、被告が▽パイロット事業の範囲を超えて、無許可でタクシー営業を行ない、さらに▽販促活動規制に違反して不当に値引きしている、と主張し、原告の売り上げ減少は、被告のこれら違法行為が原因であるとして、420億VND(約2億0200万円)の損害賠償を請求しましたが、ホーチミン市人民裁判所は、2018年12月28日、被告に対し48億VND(約2300万円)の損害賠償の支払いを命じる判決を言い渡しました。
しかし、被告はこの判決を不服として控訴した模様で、裁判所の終局的な判断はまだ先になりそうです。
法改正への動きも最終案は固まらず
2016年以降、パイロット事業と並行して、自動車運送事業政令の改正作業も行われており、今年4月に公表された第8草案では、配車アプリサービス事業を追加し、タクシー事業と明確に区別しています。◇タクシー事業については、▽オンライン課金ができることが明記され、他方、◇配車アプリ事業に対しては、▽タクシーと同じサイズの表示灯(10cm×25cm以上)を屋根に載せる、▽「流し」営業の禁止、▽毎月の登録地の地域内での営業時間が70%以上、などの規制強化が盛り込まれています。
この最新の草案に対しても、タクシー・配車アプリの両業界から、変更を求める意見が出されており、まだ最終案が固まる見通しは立っていないと見られています。
小幡 葉子 Obata Yoko
日本国及びベトナム外国弁護士。JICAベトナム法整備支援
長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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