SSI証券のベト株探訪記 No.020

約2年ぶりとなる金利の引き下げ

ベトナム国家銀行(SBV、中央銀行)は9月16日に、主要政策金利の引き下げに関する決定第1870号/QD―NHNNを発出しました。利下げは2017年10月以来約2年ぶりとなります。では、この動きは経済全般、特に株式市場にどのような影響を与えるのでしょうか?

VNDは、USDに対して安定した為替レートを持つ通貨です。また、来期の為替レートの管理には、高い水準の外貨準備(約700億USD)、貿易収支、資本フローにより多くの利点があります。

さらに、8月までの消費者物価指数(CPI)は2018年末と比較し、今年8月末の時点で1・87%増加しました。これは、国会が設定した2019年のインフレ制御目標の約4%より低い数値となっています。

世界中の中央銀行で利下げの動きが広がっている一方で、国内市場はマクロ経済や外為市場が安定しており、インフレが抑制されているという背景の中で、SBVは資本コストと金利を下げるために管理方針を変える機会があります。金利の低下は、銀行間の取引市場の金利を引き下げますが、金融政策の緩和を意味するものではありません。

リスク回避のため通貨供給量を管理

総需要が伸び悩んでいる状況において、通貨供給の増加はインフレ、貿易赤字、資産バブルのリスクを高めると思われます。

より広い視野でみると、経済を後押しするには、中央銀行の努力だけでは十分とは言えないでしょう。金融政策は現在マクロ経済が安定し、成長を支えています。米中貿易戦争やブレグジットなど、大きな経済の動きが世界規模で生じているなかで、国力を最大化することはさらなる成長をもたらし、外部からの悪影響を回避することができます。

そのためにも、公共投資事業の実行と国内産業を保護する措置の実施は最良の解決策だと考えられます。

グエン・ドゥック・フン・リン Nguyen Duc Hung Linh
個人向け分析・投資コンサル部門マネジャー。シンガポールでMBA、ハノイで学士号を取得。2011年より現職。
Saigon Securities Inc.
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