賢者の税務・会計術 vol.022

ベトナム国内・国外の所得を合算

こんにちは。AGSの貝沼です。今回は所得税確定申告の注意点をご案内したいと思います。

ベトナムでは、居住者に対し、税率35%を上限とした累進課税制度を採用しており、ベトナム居住者の要件を満たす就労者は、ベトナム国内所得に加え、ベトナム国外で生じている所得も合算して、課税対象期間(原則として暦年)の末日から90日以内に確定申告を行う必要があります。2019年中に183日以上のベトナムでの滞在日数や賃貸契約を有する就労者の確定申告期限は、2020年3月末となります。

ベトナム所得税の実務を行う際は、現物給与として課税される範囲の確認が重要になります。すなわち、ベトナムでは、日本より非課税所得の範囲が狭く、個人名義のゴルフ会員権や2回目以降の帰国手当、住宅家賃手当等の個人に対する給付は給与所得として課税されます。

給与金額のほか、規定や契約書を確認

具体的に留意すべき点として、会社が就労者の住居を借り上げしている場合は、当該従業員の所得の15%もしくは家賃のいずれかの低い金額が所得として加算されます。また、出張関連費用や子どもの学費を会社が負担する際、社内規定や労働契約書に当該給付内容が明記されていない場合は、給与所得とみなされます。そのため、ベトナム居住者となる就労者は、その所得税の予算を策定する時点で、給与金額のみならず、社内規定及び労働契約書記載内容等の確認も必要になります。

ベトナム税務局は、調査の経験から出向者の所得水準や処遇を熟知している場合があり、上記事項は税務調査の際に指摘されやすいため、適切な申告が必要となります。

詳細は専門家に直接ご相談いただくことを推奨いたします。

貝沼 義斗
AGSハノイ事務所勤務。官公庁での税務業務、青年海外協力隊を経て、2018年より現職。ベトナム語を猛特訓中。
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