賢者の税務・会計術 vol.037

ベトナム国内外の
所得申告の義務

こんにちは。AGSの貝沼です。コロナウイル感染拡大の影響により、ベトナムへの出向者は減少していましたが、徐々に回復傾向にあるようです。出向者の方は実務上、居住の要件を満たすことを前提に申告納税をすることが一般的ですが、出張者の方の場合は、居住者の要件を満たしているかどうか確認する必要があります。
 
今回は、ベトナムにおける居住者の要件をご案内いたします。
 
ベトナムでの居住者要件を満たした場合、国内で生じた所得に加え、国外で生じる所得も申告する義務が生じるため、注意が必要です。
 
所得税法通達111/2013/TT―BTC第1条にて、居住者の要件が次の通り定められています。いずれかに該当する場合、居住者とみなされます。

①暦年、もしくは最初の入国日から連続して12ヶ月の間、183日以上べトナムに滞在している場合
 
例えば2019年1月1日から2020年12月31日の間に滞在日数が183日以上ある方や、2019年10月1日に入国し、2020年9月30日までに滞在日数が183日以上ある居住者に該当します。

②課税期間内で、183日以上の賃貸契約を有している場合
 
契約者が個人、会社を問わないため、会社で借り上げたマンションに居住している方も該当します。
 
①と②のいずれかに該当した方は、日本とベトナム双方の居住要件を満たしている可能性があります。

日越双方の居住者は
居住地を決定できる

日越租税条約第4条の2(以下、租税条約)では、双方の居住者(以下、双方居住者)に対する取り扱いを恒久的住居の所在地や経済的結び付き、常用の住居、国籍などにより、個人の居住地を定めることとされています。
 
ベトナムでの居住要件を満たし、日越双方の居住者になった場合は租税条約上、居住地をいずれかに決定することができますが、双方で居住者として納税しているケースもあります。
 
新しく出向者が赴任される企業や、日越双方の居住者の方は一度、専門家へ相談してみてはいかがでしょうか。

AGSハノイ事務所勤務。官公庁での税務業務、青年海外協力隊を経て、2018年より現職。ベトナム語を猛特訓中。
【A. I. Global Sun Partners JSC】
貝沼 義斗 Kainuma Yoshito
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