EY大手会計事務所のベトナム事情 No.005

2017年5月から新移転価格税制が適用

EYベトナムの小野瀬です。第5回の対談は、前回に引き続き日系企業担当の西川貴陽マネジャーです。

小野瀬 前回、過小資本税制の導入が見送られた話がありましたが、他にも支払利息が税務上の費用(損金)として認められるかについての論点がありますよね。

西川 2017年5月より、Decree20が適用となっており、BITDA(金利・税金・償却前利益)×20%を超える支払利息ついては超過部分は損金不算入とされています。

EBITDAとは税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される、広い意味での利益となります。

小野瀬 この規定は関連者以外からの借入から発生する支払利息に対しても適用されるかどうかについて議論があるようですね。

西川 そうですね。関連者とは子会社や関連会社等、同じグループにある会社等を指す概念となります。現在、ハノイから出ているオフィシャルレター(OL)では、銀行からの借入等、第三者からの借り入れも適用されるとされている一方、ビンズオン省から出ているOLでは、関連者からの借り入れのみが、当該規制の対象となるとされています。

過小資本税制の適用は見送りへ?

小野瀬 各税務署でねじれが生じている状態ですね。なぜこのような状況になっているのでしょうか。

西川 もともと、Decree20は移転価格税制に関する規定であり、関連者間取引に関する規定となっています。したがって、関連者間取引に関して定めていることが推測されるものの、当Decree20には、関連者間取引に限定される旨の記載が明示されていないため、解釈の違いが発生しているものと思われます。

ただし、上位機関のハノイがすべての借り入れが適用と解釈している以上、現在はすべての借り入れが適用となると解釈されています。

小野瀬 すべての借り入れが適用となると、影響は大きいですね。資金調達の際には、考慮する必要がありそうです。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
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