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Yベトナムの小野瀬です。第19回の対談は、前回に引き続き監査担当シニアマネージャーのDoanhさんです。

小野瀬 今回は、外貨建て取引の換算に使用する為替レートについて、ベトナムの会計基準上での取扱いを教えてください。

Doanh 会計上、外貨換算が必要になる場面として、期中及び期末日の2つがあります。まず、期中においては原則として、外貨建て債権が発生する取引の場合は顧客から代金を受領する商業銀行の買取レート、外貨建て債務が発生する取引の場合は代金を支払う商業銀行の販売レートになります。また、未払勘定を経由せず、外貨で直接資産を購入または費用を支払う場合には、支払いを行う商業銀行の買取レートを用いて、外貨換算を行うことになります。

次に、期末日においては、資産は通常取引を行う商業銀行の買取レート、負債は同銀行の販売レートを使用して外貨換算を行います。

小野瀬 取引ごとに実際の為替レートを使用するのは、実務上難しい場合もあるかと思いますが、例外的な取扱いはあるのでしょうか?

Doanh 期中においては例外的に、財務諸表に重要な影響を与えないことを条件として、平均値等の「近似レート」の使用が認められています。当該「近似レート」を使用する場合には、日次、週次または月次の実際の平均レートとの乖離が、±1%以内となるようにしなければなりません。また、期中において近似レートを使用した場合には、期末日の換算替えに使用するレートは買取レート、販売レート、平均レートから一つを選択して適用することとなります。

小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com