EY大手会計事務所のベトナム事情 No.032

財務省による適用ロードマップの公表

EYベトナムの小野瀬です。第32回の対談は日系企業担当の若杉俊哉ディレクターです。

小野瀬 各国で各々導入が進められている国際財務報告基準(以下、IFRS)ですが、ベトナムではどの様な計画になっていますか?

若杉 ベトナムでは、財務省が2020年3月に、IFRS適用に向けてのプロジェクトを決定するDecision345/QD‐BTCを発行し、ロードマップを公表しました。

小野瀬 ベトナムでは現在ベトナム会計基準(以下、VAS)が全企業に適用されています。IFRSが適用されると、VASでは現在未発行の固定資産の減損会計の導入等、影響が大きいですね。IFRSの適用対象企業と時期を教えて下さい。

若杉 ロードマップでは、①準備期間(2021年まで)、②任意適用期間(2022年~2025年まで)③強制適用期間(2026年以降)と3つのフェーズに分けて規定しています。任意適用期間の対象企業は、IFRSを適用する必要性と能力を持つ外国親会社による100%外国投資企業など、一部の会社等に限定されています。強制適用期間の対象となる企業範囲はまだ決まっておらず、任意適用期間の状況を見ながら、今後対象範囲を決定する予定です。

小野瀬 100%外国投資という条件付きですが日系企業では2022年から任意適用できる企業も多そうですね。現在、親会社連結用と個別用でIFRSとVASベースの2種類の財務諸表を作成している日系企業も多いので、IFRS財務諸表のみに一本化できるのであれば、朗報ですね。

若杉 仰る通りです。IFRSを導入できれば、機能通貨にUSドルを採用できる可能性がVASよりも広がるメリットが想定されます。

小野瀬 先の話に思えますが、IFRSが適用されると企業のビジネスと生産活動に非常に大きな影響を与えます。専門家のサポートと十分な時間を確保することが必要ですね。

小野瀬 貴久
日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、EYジャカルタ勤務を経て2011年より現職。
Ernst & Young Vietnam Ho Chi Minh City Office
電:028-3824-5252
E-mail:eyhcmc@vn.ey.com
ウェブサイト:
www.ey.com