回は、外国契約者税(以下FCT)の課税対象および税率について解説いたします。

前回ご説明した通り、FCTをベトナム側契約者が申告・納税する場合、みなし付加価値税率(VAT)とみなし法人税率(CIT)を適用します。代表的な項目と各税率は次の通りです(通達103/2014 /TT-BTC第12条2項、第13条2項)。コンサルティングを含むサービス一般、機械装置リース等(CIT5%、VAT5%)、資材・機械設備の供給を伴わない据付・建設(CIT2%、VAT5%)、資材・機械設備の供給を伴う据付・建設、運送サービス(CIT2%、VAT3%)、借入利息(CIT5%、VAT非課税)、ロイヤリティー(CIT10%、VAT非課税)。

誤りやすい項目には、ベトナム国内でのサービス供給を伴う物品の販売や固定資産の据え付けサービスがあります。サービスが物品販売と合わせて行われる場合や、複数のサービスが同時に提供される場合、契約においてそれぞれの取引を区分して記載することが大切となります。区分記載がないと、各サービスの適用税率のうち最も高い税率が、物品の金額も合わせた総額に適用されることとなるためです(同通達 第6条2項、3項)。

FCTはサービスがベトナム国外で提供・消費された場合、本来、課税対象になりません。ただし、この判定は実務上困難であるため、広告・宣伝やトレーニング等、ベトナム国外で提供・消費されたサービスのうち、FCT対象外となるものが限定列挙されています(同通達 第2条4項)。

このように、FCTの課税対象の判定は理解しづらいため、海外送金が行われる場合は専門家への相談をお勧めしております。

次回はFCTにつき、保税倉庫を使ったスキームについての解説です。

吉田 俊也
Yoshida Shunya
AGSホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。日本の大手メーカーでの経理を経て2014年より現職。原価計算システム構築、連結決算、国際会計基準対応などに強みを持つ。
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