賢者の税務・会計術 vol.041

こんにちは。AGSアカウンティングの堀切です。「堅苦しい税制を、少しでも身近なものへ」をテーマに、本稿では前回に引き続き、個人所得税と法人税の比較を通じて相違点を解説します。

個人・法人所得税
どこで支払うのか

個人も法人も、法律で国籍が定められています。その国籍地での申告納税は理解しやすい一方、国籍地以外での申告納税義務は理解するのに苦労する場合があります。

初めての海外進出にあたっては、「当社は日本で税金を支払っていますから」という台詞をよく耳にします。しかし、日本で納税していることが、ベトナムで納税をしなくてよい理由や根拠にはならないため、十分な留意が必要になります。
 
個人の場合、国際ルールによると、「居住者・非居住者」という区分と、その「所得の源泉地」という区分のそれぞれにより、各国での申告納税要否の判定がされます。また、例外的な取り扱いとして、短期滞在者への免税規定も定められています。
 
法人の場合、国際ルールによると、「恒久的施設(PE)がなければその国では課税されない」という大原則が定められています。

個人の納税場所は
複数要素で決まる

両者を比較すると、「法人」は、恒久的施設(PE)の有無に留意すれば問題ありませんが、「個人」の場合は、複数の要素を総合的に確認をする必要があります。

個人の場合で、特に留意すべきは、ベトナム側の免税を適用するにはベトナム当局への手続きが必要になる点です。もし何の手続きも行っていない場合には、実は申告納税義務の履行を失念している可能性があるため、留意が必要です。
 
加えて、日本国所得税法の取り扱いが、「役員・使用人」の区分により異なる場合があります。日越の税務の専門家に確認をしながら最終的な義務の判断や、申告納税額の予算化が必要になります。
 
日本およびベトナムでの具体的な所得税や法人税等の申告納税の要否や、その方法の詳細は、専門家へのご相談を推奨します。

日本国税理士。2012年よりベトナム常駐で会計税務業務へ従事。ベトナム赴任前は、東京の会計事務所にて多くの外資系企業へ日本国内税務業務提供。
【AGS Accounting Co., Ltd. ハノイ市事務所】
堀切 泰孝 Horikiri Yasutaka
ハノイ市事務所
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