賢者の税務・会計術 vol.019

手許現金管理方法
5つのポイント

こんにちは、AGSの貝沼です。今回は、会社設立後の経常費用の取り扱いに関して、手許現金管理・帳票保管に分けて説明します。

◇手許現金管理

毎日まじめに現金出納帳に記帳しているつもりでも、実際に現金実査をしてみると残高が合わないことがよくあります。差異の原因は記帳誤り・漏れ・過払い・従業員不正等が考えられます。具体的な管理方法として、①取引が発生した都度、現金出納帳へ記載すること ②適時の複数人による現金実査の実施 ③現金出納帳と現金実査の付き合わせ ④現金実査の結果について上職者の承認を得ること ⑤現金が消失した場合の責任の所在の明確化などが考えられます。

管理コスト低減のために、必要以上の現金を保有しないことや、預金取引による決済・現金取引のリストアップ化・非経常取引に対する社内取り扱いの構築が必要となります。

2つの用途に対する
帳票保管について

◇帳票保管

①税務申告のためと②財務諸表監査のための帳票保管に分けて説明します。

①税務申告のための帳票保管

インボイスの保管には十分な注意が必要となります。記入に誤りがあったとしても破棄せず保存する必要があります。また、経費支払い時に受領したインボイスに記載誤りがあった場合には、仮払VATを仮受VATから控除することが認められない場合や、法人税の損金として認められない可能性があります。

②財務諸表監査のための帳票保管

ベトナムでは、外資企業は財務諸表監査を受けなければなりません。監査を受けるための証憑がきちんと管理されていない場合、監査人の要求に対して十分に応えることができず、期日までに監査意見をもらえない可能性があるため、注意が必要です。

内部統制上、手許現金管理や帳票保管は非常に大切な管理プロセスであり、専門家に相談することを推奨します。

貝沼 義斗
AGSハノイ事務所勤務。官公庁での税務業務、青年海外協力隊を経て、2018年より現職。ベトナム語を猛特訓中。
A. I. Global Sun Partners JSC
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