SK人事部 採用・教育虎の巻 其の百二十七

ベトナム人が転職する場合、希望給与は現在の給与を維持か、少し上回るのが一般的です。
 
しかし時折、「下回っても構わない」という求職者に出会うことがあります。現収より希望給与が低いと「なぜ?」と思う方も多いでしょう。今回はその理由や背景を紹介します。

希望給与額が
現収より低い事情

希望給与額が現在の給与より低い求職者に理由を聞くと、以下のような事情を述べることが多いです。

➀Uターン就職
ハノイやホーチミン市などの都市部で働いていた人が、故郷で再就職するケース。実家に住むので家賃が不要、物価が都市部より安いなどの理由があります。

➁週休2日制企業へ転職
土曜出勤の会社から、完全週休2日制の会社へ転職を希望するケース。前職と比べて単純に労働時間が少なくなる分、多少の給与低下は許容範囲となります。
家庭を持った女性に多いのが特徴で、子どもや家族の世話などが理由として挙げられます。

➂未経験分野への転職
これまで経験してきた職種とは全く異なる職種に転職するケース。将来的な昇給やスキルアップを見越していることが多く、30歳ぐらいまでの方に多く見られます。
以上より、希望給与額が現在の給与より少なくても、求職者にとっては、それでも転職したいという切実な思いがありますので、特に訝しむ必要はないでしょう。
また、本人のスキルと給与額のミスマッチが起きにくいという利点もあります。

希望給与額が
高い場合も確認を

冒頭で書いた通り、希望給与が現状より上回るのが普通ですが、「なぜその希望額なのか」を面接時に確認することは、別の意味で採用判断の一助になります。
 
その給与額を希望するのが客観的に妥当なのか、つまり自己の経験・スキルがその給与額に見合っているのかという問いに対して、理路整然と答えられる人材は優秀な印象を受けます。
 
片や「求人の提示額がこの額だから」「現職より収入を上げたい」といった理由なら、採用側は納得しないでしょう。
 
冷静に自己分析できている求職者は、企業を選ぶ能力にも長けているものです。

【SESSA VIETNAM CO.,LTD】
稲田 琢磨  Inada Takuma
日系、越系人材会社にて計8年就業。人材紹介、ビザ、労務相談などに定評。

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