未消化の有給買い取り
新旧労働法上の扱い

ベトナムの労働法上、未消化の有給買い取りが認められていますが、退職・失業時以外の有給買い取りの可否には議論があります。

旧労働法では、退職、失業、その他の理由で、未消化の有給が残る場合には、有給買い取りが認められていましたが、2021年施行の新労働法では、上記から「その他の理由」が削除されています。これを根拠に在籍中の未消化有給の買い取りは認められないとする見解もあります。この点、労働安全衛生局発行のOL514号は、従業員にとって有利な措置であれば、雇用者と従業員の合意のもと、有給買い取りが認められるとしています。

在籍中の未消化有給買い取り
法人税上の取り扱い

ここで問題となるのが、有給買い取り費用の損金算入可否です。 

地方税務当局によるいくつかのOLでは、在籍中の有給買い取りの可否について、新労働法で明記されていないことから、当該費用は損金不算入と示されています。

一方、税務総局発行の2022年2月18日付OL468号では、労働法に準拠し、法人税通達78号の損金算入要件を満たせば、損金算入が可能とされています。以上から損金算入可否については担当官の解釈が分かれることが予想されます。

損金扱いにする場合は、OL514号に従い、雇用者と従業員間で有給買い取りについて合意し、労働規約に明記することをお勧めします。

西川 貴陽 Nishikawa Takaaki
公認会計士(日本・米国)、日系企業担当インドシナ副統括ディレクター。EY新日本有限責任監査法人にて、監査業務や株式公開支援業務、財務デューデリジェンス業務に従事後、2016年よりEYベトナムに赴任。
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