在越日系企業の力強い味方。それが同じ日系の公的機関だ。
大使館や総領事館はもちろん、ベトナムにも企業を支援する機関が数多くある。
一方、「敷居が高い」や「うちとは関係ない」と足を運ばない方も多いのでは?
今回は主たる支援内容を各機関にアピールをしてもらった。

 

日本貿易振興機構(JETRO)ハノイ事務所では「情報発信」と「マッチング」を主に提供しており、今後は日越の企業や団体が連携する「36次産業化」を始めたいという。多彩な分野のプレイヤーが新しい価値を創出する。

基礎から学べる小学校 出会いの場も作る

情報発信には大規模なシンポジウム、中規模の実務型セミナー、小規模では初心者向けの説明会などがあり、相手の理解度や関心度に合わせることが大切という。また、昨年度版から掲載工業団地数を増やした「ベトナム北部・中部工業団地データ集」、近年人気のレンタル工場を扱った「ベトナム北部・中部レンタル工場データ集」、ローカル企業を集めた「ベトナム北中部日系製造業・関連商社サプライヤーダイレクトリー」等の他、「ベトナム税務Q&A」などの調査レポートが豊富に揃う。

ハノイ部品調達展示商談会

「JETROは小学校のようなもの。教科書はたくさんありますし、基礎から学べます。もちろん、大学レベルのご相談にも対応しています(笑)」

マッチングでは商談会がメイン。今年2月の「ベトナム部品・加工産業販路拡大商談会」や9月の「ハノイ部品調達展示商談会」などの製造業系や、11月開催予定の「アセアン市場販路開拓商談会」は日用品や生活雑貨の商談会だ。また、来年1月には、ハノイ市内のモール内で一定期間の仮店舗出店ができる「ベトナム(ハノイ) テストキッチン」も予定している。

「やる気のある人が集まると何かが起こる。その手助けをしたいのです。特に海外では『お付合い』がないと事業の継続が難しい。その出会う機会を作るのが仕事です」

プレイヤーを集めて 36次産業を推進

北川氏が始めたいのが「36次産業化」だという。第1次、第2次、第3次産業を掛け合わせて付加価値の創出や効率化を図る「6次産業化」。これを日越の企業や団体で連携して6×6の「36次産業」を起こすというものだ。

アセアン市場販路開拓商談会(日用品輸出商談会)

「日本の第1次産業とベトナムの第3次産業が組むなど組合せは自由です。6次産業化は日本に成功事例が多いので、多くのプレイヤーが協力できるプロジェクトを始めたいですね」

ベトナム政府は現在、ハイテク農業の導入でJETROに協力を求めているそうだ。ならば農場でジャガイモを育て(第1次)、製造業がポテトチップスに加工し(第2次)、各小売店に配送する(第3次)。加えてクリエイターがパッケージをデザインし、教育業界が食育を教え、金融機関が融資をするなど参入企業はいくらでも広がり、将来的には隣国への輸出も視野に入る。 今年12月には日本の農業関係者と共に、36次産業のシンポジウムを開く予定だという。

「皆で仲良くやりましょう。そうすればもっといいことが起こります。また、我々は外資系企業なのでベトナムの情報量が少なく、JETROに来たほうが何かと『お得』だと思います。ちょっと聞きたい、と思ったらお寄りください」