我らの味方!
日系公的機関の利用術
在越日系企業の力強い味方。それが同じ日系の公的機関だ。
大使館や総領事館はもちろん、ベトナムにも企業を支援する機関が数多くある。
一方、「敷居が高い」や「うちとは関係ない」と足を運ばない方も多いのでは?
今回は主たる支援内容を各機関にアピールをしてもらった。
日本の政府開発援助(ODA)を一元的に実施する国際協力機構(JICA)。ODA事業を通じて日本企業のビジネスチャンスを広げると共に、在越日系企業のビジネス環境整備等にも積極的に取り組んでいる。
民間企業の支援事業 ベトナムは人気国
JICAの支援活動で注目したいのが、「ODAを活用した民間企業海外展開支援事業」だ。中小企業や中小企業団体の一部組合、あるいは日本国登記法人全般を対象にしており、「ベトナムの社会・経済開発課題解決に資する事業展開を試みる」ことが条件。2012年から始まった「普及・実証事業」と、2013年からの「開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」がある。
前者は中小企業の製品や技術を、ベトナムに適合するか検証するための実証活動、その普及方法を検討する事業を支援する。期間は1~3年程度。
後者は日本への視察、ベトナムでのセミナーや実機によるデモンストレーション等を通じて、ベトナム政府関係者へ製品、技術、システムの理解を促す事業を支援する。こちらは最大2年間だ。
「JICA全体で原則年2回公示を行い、提案を募集しています。ベトナムでは、現在までの公示の合計で43件を採択し、この事業をきっかけに自社のベトナム展開を活性化させた事例も生まれています。ベトナムはJICAの中でも最多の案件数を誇る、人気国です」
活かされているのがJICAの強みだ。長年のODA実績で得た各国政府とのネットワークや信頼関係、事業ノウハウにより、現地の開発ニーズと日系企業の製品・技術のマッチングを支援している。
セミナーは好評 民間連携ボランティアも
また、JICAベトナム事務所では、ベトナム日本商工会(JBAV)の会員企業向けに社会経済インフラ委員会セミナーも定期的(四半期に1回)に開催。今年度第1回は今年6月にあり、ベトナム円借款事業環境に関する現況説明と意見交換、ハノイ市都市鉄道建設事業の今後の見通し、JICAの海外投融資スキームなどが議題となった。
セミナーでは主に日本のベトナム向けODAの現状や課題、ベトナムのインフラ整備支援状況、世界銀行やアジア開発銀行等国際機関のベトナム向け支援戦略などがテーマとなっており、興味を持つ日系企業が多いという。
「日本のODAの状況やベトナム政府の政策がよくわかると評価をいただいており、毎回、会議室の収容人数を上回る応募があります」
JICAには他にも、企業の社員を青年海外協力隊やシニア海外ボランティアとして開発途上国に派遣し、途上国の国づくりに貢献すると共に自社の海外展開にも活用が可能な、「民間連携ボランティア」制度等がある。
「ベトナム経済における在越日系企業のプレゼンスは、皆さんが思う以上に大きいと思います。JICAは中小企業の海外展開支援やインフラプロジェクトなど、在越日系企業とベトナムの双方の発展につながる活動をしてまいります。ぜひ支援制度等をご活用ください」
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