出張や一時帰国でお馴染の航空会社。ただ、単なる移動手段と考えて、そのサービスや特典に無頓着なビジネスマンも意外に多い。ベトナムに住むからこそ利用機会は増えるはず。ならば、もうちょっとエアラインのことを知ってはいかが? 
そう、次の出張までに。

 

航空業界調査・格付け会社SKYTRAXで、5年連続「5スター」を獲得した全日本空輸(ANA)。ネットワークの拡充のみならず、アライアンス提携、顧客利便性の向上など、積極的な国際線の展開を進めている。

グローバル戦略を率先 自社と同等のサービスを

ベトナムと日本の間を1日3便運航しているANA。ホーチミン市―成田線が2便、ハノイ―羽田線が1便だ。ハノイ線はボーイング787-9で就航しており、ビジネスクラスはフルフラットになる「ANA BUSINESS STAGGERED」。ホーチミン市線では朝7:00発のANA834便が今年9月よりボーイング787-8で就航する予定だ。

特に近年は国際線分野の躍進が目覚ましい。ここベトナムでは、2014年よりハノイ―羽田線が新規就航したほか、2016年10月には、ホーチミン市―成田線が増便し現在の1日2便体制になった。杉氏はこう語る。

成田空港のANAラウンジ

「増便はしたものの、搭乗率は以前と変わらず高位を維持しています。ベトナムからは旺盛な訪日旅行需要、日本からはビジネスとレジャー共にますます需要が増すと考えています」

転機となったのは1999年だ。1997年に世界初の航空連合として設立したスターアライアンスに、ANAは1999年に加盟した。加盟に当たってはANA内で反対意見もあったものの、「スターアライアンス」加盟メンバーとコードシェアを次々と設定する中で、ANAグループのネットワークはグローバルに拡大し、国際線収入は飛躍的に伸びた。

ANAの客室乗務員

ただし、加盟後に全てが順調だったわけではない。2001年の同時多発テロをはじめ、イラク戦争やSARSの流行など多くのイベントリスクに直面しながらも、こうした困難な状況を乗り越えたという。それは自社運航便のネットワークのみに頼らず、スターアライアンスメンバーの航空会社のネットワークを効果的に活用したことが大きいとANAは見ている。

「単にネットワークを拡大しただけではありません。お客様にとっては他社とのコードシェア便を拡充することで、ANAのマイルが貯めやすくなりました。特にスターアライアンスゴールドメンバーの方は日本のみならず、世界各国で空港ラウンジ等をお使いいただくことが可能です」

東南アジアではさらに、シンガポール航空やタイ航空など従来のアライアンスの航空会社に加え、航空連合の異なるベトナム航空やガルーダ・インドネシア航空などともコードシェア便を運航しており、これらのマイルを貯めることもできる。東南アジア在住者にとっては、これまで以上にANAを利用する際の利便性が向上している。

ANAは昨年10月からベトナム航空とコードシェア提携を始め、マイル積算の他、特典航空券でベトナム航空の一部運航便が利用できるようになった。利便性が高まるANAの今後の展開からも目が離せない。

訪日旅行客も重視 競争はこれから激化

ANA BUSINESS STAGGERED

ANAは、イギリスのSKY TRAX社によるワールド・エアライン・レーティング(航空会社の格付)で、2013年から5年連続で、最高評価の5スターを獲得した。SKYTRAXは空港から機内サービス800以上のカテゴリーで、「5つ星レベル」のサービスを体感できる航空会社のみを「5スター」に認定。これを得た航空会社は日本ではANAのみ、世界でもANAを含め9社しかない。

「搭乗から旅の終わりまで、機内サービスやチェックインカウンターなど全てが評価された結果だと思います。心地良いサービスをさりげなく、全てのお客様にご提供することを心掛けています」

近年感じているのは顧客ニーズの多様化だ。「おもてなし」を望む人もいれば、利便性を求める人もいる。前者はもちろん、後者においてはインターネットやSNSを活用するとともに、空港のシステム化を進めて効率化を図っているという。

また、ベトナム人の訪日旅行がブームとなり、今後の旅行者増も確実視されている。今はツアー旅行が主流だが、ベトナム政府の後押しもあって、今後は個人旅行が広がると見ている。

「爆買いブームが一段落した中国人の次の主要訪日客として、ベトナム人は十分候補になると思います。ANAでは.海外居住のお客様を対象とした『Experience JAPAN Fare』を実施しており、日本国内線が一律1万800円(空港使用料は別途)でご利用できます」
日本国外に居住し、日本発着国際線の航空券があれば購入できる。札幌発着の北海道内路線は5400円。日本人の場合は海外永住権を持つ人に限られる。

「今はお客様が航空会社を選ぶ時代。安全性、定時制、価格、ダイヤ、クオリティ、サービス、場所など評価の要素は様々で、競争はより激しくなると思います」