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供給増にも関わらず売れ続けるベトナムの住宅不動産。日系を含めた外資系企業の参入も顕著だ。昨年7月の住宅法改正で、外国人の購入者も急増している。これはバブルなのか?市場拡大はどこまで続くのか? 各業界の専門家たちが現在と未来を語る。

 
 

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法改正により将来形成不動産への保証業務が始まり、住宅ローンが広がりつつあるこの国で、地場銀行は市場をどう見るのか。ベトナム大手銀行のひとつであるテクコムバンクが、金融界から実情を伝える

 
 

力強く進むが課題も散見

2015年7月の住宅法と不動産事業法の改正により、(完成前、開発中の)将来的に形成される不動産物件への第三者保証業務が、ベトナム国家銀行(中央銀行)が認可した商業銀行で始まった。同行もその一行だ。例えば、デベロッパーが予定通りに不動産を購入者に引き渡せなかった場合は、保証銀行は購入者の要望に応じて、デベロッパーに支払われた前払金を購入者に払い戻す。

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ホーチミン市で注目される大規模不動産物件
「Vinhomes Golden River」はテクコムバンクが保証

「これは世界の不動産金融市場で共通の動きですが、銀行の保証でデベロッパーは物件を開発する資本金が確保でき、購入者は20~25年までのローンの金融サポートが受けられ、建設業者は物件完成まで施行資本金が確保できます」

また、プロジェクトを発売する前に、投資家は販売する住宅だけでなく、当該住宅に設定した自らのプロジェクト全体の抵当権を外さないといけなくなった。投資家には厳しい規定の遵守が課せられ、商業銀行の保証などで購入者に有利な制度も生まれ、市場の透明度も向上している。しかし、法律がいち早く実際に適用するためには、詳細な実施手引の確定、通達、決定の発行が必要となるという。

「例えば、将来形成住宅の購入者は借入れの担保として、その住宅への抵当権設定が認められていますが、担保付取引の登録に関する枠組みがまだに定められていないので、現実にはまだ実行できていないなどです」

今後本格化するミドル以下の需要

一方では住宅ローンが拡大している。ベトナム不動産協会によれば投資用よりも住宅用のニーズが高く、不動産取引所や不動産専門家のデータによると、ローンを組むのは一軒家よりもアパートやコンドミニアムの購入者が多いという。

「住宅用購入者の多くは30~50歳の公務員や会社員で、中級・高級物件が人気です。彼らは家族や子供のために広い生活空間を求め、コンドミニアムなどに付帯する充実した設備と高品質な周辺環境により、生活水準をより向上できると期待しています。購入目的や物件のクラスで異なりますが、彼らは安定した収入を確保しており、価格の3~7割をローンで組み、期間はおよそ5~20年です」

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テクコムバンクが保証した
ハノイの不動産物件「Times City」

ヴィン氏は長期的に見て、ベトナムの不動産市場は積極的に上昇するはずと語る。投資家は次第にプロフェッショナルになり、ニーズに応じてプロジェクトは多様化し、物件のクオリティも改善していく。そして、市場の変化に追いつけない投資家は徐々に撤退し、購入者に付加価値をもたらせないプロジェクトは減っていく。

「豊富な供給量に加えて住民の住宅購入ニーズ、特にローエンドとミドルエンドのプロジェクトに対する需要がまだ大きい。不動産の流動性も高いので、今後の価格上昇はそれほど大きくないと思います」