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ベトナムの法律は一筋縄ではいかない。
日本と異なる法体系や頻繁な法改正があるからだ。
頼りになるのは法律事務所や会計事務所だが、敷居が高いと感じる人も…。
そこでSKETCHPROが協力。
日系企業が困りがちな具体例を作り、各専門家に回答をいただいた。

執筆ご担当(50音順)
AGS / DFDL Vietnam / EY ベトナム / TMI総合法律事務所
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 / 長島・大野・常松法律事務所
 
P12
Q. レンタル工業団地に1人で赴任しました。私は技術職で労務や人事の経験はなく、会社の始め方や組織の作り方がわかりません。会計面は会計士に任せるとして、法務面ではどこから、どのように始めたらよいでしょうか?

A. 6つのポイントをまずチェックしましょう
お一人で会社のマネジメントを全て担い、さぞご苦労されていることとお察しします。まずは、御社で以下の事項がうまく回っているかチェックしてみてください。

①コーポレート:投資登録証明書(IRC)または投資証明書(IC)・企業登録証明書(ERC)、定款や内部規程などの内容の確認・アップデート、社員総会の招集・開催・議事録作成、役員の選任など。企業法の内容の確認です。

②雇用:就業規則・雇用契約書・内部規程(特に賃金規程)の内容の確認・アップデート、雇用期間の管理など通常時の作業の他、労災事故・従業員の退職・不祥事・ストライキなどの対処。労働法令の内容の確認です。

③行政規制:商工会・大使館・JETROなどの情報提供を活用し、法令の変更をチェック。当局の調査に対応するため、契約書・内部規程・その他の書類を整理し、重要な書類はベトナム語版を作成。当局への各種報告・届出・通知等の日数制限にも注意です。

④契約:契約締結前の内容のチェック。忙しくても内容を見ないでサインしないこと。締結後の契約期間の管理、履行状況や契約相手方の現状の把握なども。

⑤コンプライアンス:従業員の業務の監督。汚職防止の内部規程の作成と研修による周知徹底。

⑥知的財産:知財エージェントの選定、特許・商標などの出願や権利の管理、模倣品への対策(税関での水際対策、市中での発見)など。

専任の法務スタッフがいない場合は、商工会やJETRO等に相談する他、法律事務所などをうまく利用して下さい。敷居が高いとよくいわれますが、そんなことは決してありません。例えば、IRCや就業規則の変更など、それほど緊急ではない場面で、見積もりを依頼してみるのも一案です。

回答者 : TMI総合法律事務所ハノイオフィス 弁護士 小幡葉子