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KOSAIDO HR VIETNAM CO.,LTD.
ソフトスキル向上にフォーカス研修サービスを提供

研修サービスを提供する日系企業は多いが、廣済堂HRベトナムはEQを基にした適性検査とソフトスキルの向上に注力する。進出2年半で100社以上、500人以上の参加という実績を持つ。

独自の研修EQとソフトスキル

Mr.Negishi
General Director
根岸千尋氏

2013年1月にホーチミン市に現地法人を設立した廣済堂。2014年2月にはハノイにオフィスを開設し、今年1月にはインドネシアにも進出した。この3拠点をマネジメントしているのが根岸千尋氏だ。

ベトナムでは人材紹介、適性検査、人材育成・研修、福利厚生コンサルティングの4サービスを提供しており、適性検査と研修をリンクさせているのが特徴。適性検査はグローバルに利用されているEQ(Emotional Intelligence Quotient)適性検査SEIであり、受検者の感情知能指数が可視化できるという。セミナーの受講者には予めこの検査を受けてもらっている。

「研修の内容はEQアセッサーの資格を持つ私が作っています。パワーポイントなどで説明する講義の内容と、私たちが『ワーク』と呼ぶ演習のシナリオです」

同社の研修はコミュニケーションをベースとするソフトスキルにフォーカス。業種を問わず業務に役立つ内容を得意とするのは、同社くらいだろうと根岸氏は語る。そのために大切なのが講義に加えてワークとなる。

例えば、個人での行動は得意でもチームワークが苦手と言われるベトナム人に、チームでの行動を体感させ、その大切さを理解してもらう。そのためのワークには、カウントワーク(1~100までの数字を3~4人単位で並べていく)などがある。個々人の作業だと終わるまで5分かかっていたものが、並べる係、カウント係、チェック係などの役割と決めて効率的に進めると1分に短縮されるなど、チームプレイの楽しさとコミュニケーションの必要性を実感してもらうのだ。

セミナーの講師はベトナム人で、日本人向けのコースは根岸氏が担当。時間は8:30~16:30の丸1日となるものが多い。

セミナーの効果受講者は3タイプに

セミナーを受けるベトナム人受講者たち

ベトナム人受講者の特徴は「目を輝かせてやってくること」という。せっかく参加したのだから何かを持って帰ろうという積極性が伺えるのだそうだ。

「日本人ですと大抵は緊張を解きほぐすアイスブレイクに時間を要するのですが、ベトナム人にはまず要りません。ただ、理解していないのに『わかった』と言う傾向ありますから、理解の程度を質問などで確認するよう徹底しています」

1日のセミナーを受けて、すぐに成果が出るとは限らない。同社のセミナーは定員25名程度が多いが、セミナーを終えた受講者は3つのタイプに分かれるという。

3分の1は目から鱗が落ちたように変わって、「明日からやってみよう」、「行動を変えよう」と業務に活かそうとする人たち。次の3分の1は、理解はできたし納得はしたけれど、行動には移さない人たち。最後の3分の1は研修の内容に共感できない、わからないと言う人たち。

最初の積極的な人たちの共通点は危機意識が高く、向上心や野心を持っていることだそうだ。

今後は製造業や営業向け研修も

同社ではセミナー型研修のほかに、日系企業向けのオーダーメイド型研修も実施している。顧客は大手企業がほとんどだが、内容は多岐にわたっている。

そのいくつかを紹介すれば、毎月1回で1年間行う生産現場のリーダー育成研修、1~2日で実施する営業と営業サポートのチームビルディング研修、12日間連続して行うモチベーションコントロールやチームビルディング研修などの実績がある。

ベトナム人の研修に対する日系企業経営層の意見は、大きく2つに分かれるという。一つは、教育費を掛けて社員に成長してほしいという考え方。福利厚生の一環として、リテンション(退職の引き留め)としても積極的に研修を導入する。

もうひとつは、転職が一般的なベトナムでの、社員の退職を前提とした考え方。こちらは教育よりも、退職者を補充する新規採用を強化するという。

ただ、特にベトナムに根を下ろしている大手製造業では、従業員数が多いこともあって、自社で独自の教育・研修制度を作っている企業も多い。

「社員研修は内製化すべきとは思いますが、弊社のような外部研修をうまく取り入れることで、従業員の新たな気付きも生まれるはず。そのため、常に新しいプログラムを考えています」

その一つは製造業向けの研修。「5S」や「カイゼン」など他社が既に参入している分野だが、自社ならではの差別化を図りたいという。また、日本語研修を取り入れた、営業・接客用のプログラムも作りたいそうだ。

「日系企業だけでなくローカル企業も対象にした、顧客と接する優秀な、『フロントに立つベトナム人』を育てたいですね。日本企業の海外優位性はモノづくりだけでなく、ソフトスキルも誇れるものですから」