めまして。ビジネスコンサルタントの荒澤と申します。弊社は設立53年を数えるコンサルティング会社で、年間5000社のお客様とお取引をしております。特に、組織や人材の能力開発と変革を支援してきました。

そこで培ってきた知見の中から、今回は「組織の競争力」についてお伝えいたします。

競争力あふれる組織にするためには、「社会関係資本」を充実させる必要があります。資本というと、金融資本や人的資本をイメージされる方が多いと思いますが、社会関係資本とは「人と人との関係性そのものが資本」という考えです。

人間が一人では生きていけないように、組織も人と人との関係の中で成り立っています。「思いやり」、「協働」、「信頼」といった心をつなげる社会関係資本があふれる組織は、模倣されにくく、イノベーションが起こりやすく、生産性も高く、業績が上がりやすいことが、多くの研究で実証されています。

では、社会関係資本を高めるにはどうしたらよいのか。まず、会社、部門、個人の存在意義を明確にし、方向性を示すことから始まります。また、人との関わりでは、「承認」、「参画」、「リワード」(与えられる価値)、「エンパワーメント」(自立への支援)、「フィードバック」というキーワードが非常に大事です。

ベトナムでも多くの会社にお伺いし、社長と従業員との絆、日本人とベトナム人の信頼感、ベトナム人同士の協働が強い会社を多数見てきました。

社会関係資本を認識して、その資本を増やす組織経営を、ベトナムにおいて始めてはいかがでしょうか。次回からはより具体的な方策をお伝えしていきます。

荒澤 文寛
Arasawa Fumihiro
Business Consultants Vietnam Co., Ltd. General Director。東京の芝学園教諭を経てアメリカ留学。その後、株式会社ビジネスコンサルタント入社。サンフランシスコ、東京、熊本の責任者を経て、ベトナム法人を立ち上げて現職。