んにちは、AGSの辻です。今回のテーマは駐在員事務所のコンプライアンスです。駐在員事務所の活動内容に対する規制は厳しくなる傾向にあり、コンプライアンスを無視した活動には多くのリスクが潜んでいます。その一例として、年次活動報告書の未提出が挙げられます。

年次活動報告書とは、商工省が規定する書式に基づき、当該年度の活動内容を報告するものであり、毎年1月30日までに当局に提出する必要があります。その内容は、①駐在員事務所の基本情報、②従業員情報、③当該年度の活動内容、④当該年度活動の全体的な評価、となっており、それほど作成に手間の掛かるものではありません。

ただし、この年次活動報告書を2年続けて提出を怠った場合や、権限機関からの要求に対して6ヶ月以内に提出を行わなかった場合には、駐在員事務所ライセンスの登録抹消が規定されています(政令07/2016/ND-CP第44条)。

実際に、罰金やその他費用による金銭的解決ができず、年次活動報告書の2年連続未提出を理由に、駐在員事務所の閉鎖決定を受けたケースがいくつかあります。

現地法人とは違い、ベトナム経済への貢献度も低く、法人税を納めることのない駐在員事務所に対しては、政府としても厳しい処分は厭わないということだと考えられます。

活動報告書未提出による閉鎖処分をはじめ、会計書類のベトナム語併記漏れによる駐在員事務所経費の所長個人所得加算など、種々のコンプライアンスの違反リスクがあります。対策について一度専門家にご相談されてはいかがでしょうか。

辻 雄太
Tsuji Yuta
AGSホーチミン事務所に勤務する米国公認会計士。日本の大手メーカーでの勤務を経て2015年より現職。国際税務・国際会計基準対応などに強みを持つ。
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