【ベトナム税務・会計】退職金の会計処理
制度改正前後で注意が必要 Vol. 15
Yベトナムの小野瀬です。第15回の対談は、監査担当シニアマネージャーのDoanhさんです。
小野瀬 ベトナムでの退職給付制度について教えてください。
Doanh ベトナムでは失業保険制度が2009年1月1日より導入され、当該失業保険制度より退職金(失業手当)が給付される仕組みとなりました。一方で、2008年12月31日以前の勤務期間に対応する退職金については、改正労働法(No.10/2012/QH13)48条に基づき、各企業が退職金を支払う必要があります。具体的には、勤続年数が1年以上の場合、勤続1年につき半月分の賃金に相当する退職金を支払うことになります。当該半月分の賃金については、契約終了前6ヶ月分の平均給与によって計算されます。
小野瀬 失業保険制度導入前と導入後で扱いが異なるのですね。ベトナムでは退職給付会計基準がありませんが、どのように退職給付引当金を計算するのでしょうか。
Doanh 2009年1月1日以降の勤務期間に対応する退職金については、企業は保険料という形で毎月支払いを行うのみで、退職時において退職金の支払いの必要がないため、退職給付引当金を計上する必要がありません。
一方で、2008年12月31日以前の勤務期間に対応する退職金については、一般的に要支給額を引当金計上します。すなわち、2008年12月31日までの勤務期間に期末前6ヶ月間の平均給与を乗じた値を、退職給付引当金として計上することになります。この時、日本の退職給付会計基準のように割引計算は行いません。ただし、自社内で上記とは別に退職金制度を設けている場合にはこの通りではないので、留意が必要です。
小野瀬 貴久
Onose Takahisa
Ernst & Young Vietnamのホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。大手監査法人にて監査や株式公開業務に従事後、2006年からEYジャカルタ事務所、2011年よりEYベトナム・ホーチミン事務所に勤務。
ウェブサイト: www.ey.com
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