フィスの空間と理想的な条件を決める時間は、十分に用意したほうがよい。弊社では賃借契約が切れる前の6ヶ月間で始めることをお勧めしているが、大規模オフィス、特に賃借ニーズが高く安定している都市中心部では9~12ヶ月間を見たほうがよい。

今後数年間の事業拡張を考え、フロアの拡大を予測して、見学する場所を思い切って選択したい。密度の高いオフィスビルでは拡大する空間がなく、もう一度移転する可能性もあるからだ。規模拡大に際しては、隣接する空間を使用する権利を確保したほうがよく、賃貸人がオフィス使用率アップを望むなら、長期間に渡る使用や多数のインセンティブが得られるよう説得することもできる。賃借人のビル選択や移転では現地調査を勧めている。賃借人がより良い条件を確保でき、賃貸人と間の不均衡な交渉回避に役に立つからだ。

賃借人は大抵、設備、駐車場、家賃の変化、原状回復などを含む総経費ではなく、面積単位の賃借料のみに関心を持つことが多い。弊社では節約の方法もアドバイスしており、例えば、1㎡当たり1USDを削減するなら、無料駐車場と比べて賃借経費を減らすことを考えてもいい。各種インセンティブを求めて、毎月の経費と賃借契約の総費用を分析して、新しいオフィスに支払うコストの効果をより明確に理解してほしい。

弊社のような代理店は不動産市場の現状、物件の占有率の方向、機会創出などをよく理解したうえで、賃貸人及び賃借人と相談している。オフィスの移転は、担当者個人の仕事としては大変な作業で時間もかかるが、国際代理店サービスの利用で手間が少なく予算を改善できるだろう。

ハンフリー・モーガン
Humphrey Morgan
SAVILLS VIETNAM LTD.のNational Head of Commercial Leasing兼Japan Desk。イギリス出身。ハノイとホーチミン市の商業物件チームを率いる一方、ジャパンデスクを開設。ベトナム全土で取引実績多数。日本で5年間勤務。