のところ、外国人の無資格ツアーガイドが摘発されるケースが目立ちます。ベトナムのツアーガイド資格には国内資格と、外国人観光客を案内できる国際資格がありますが、どちらもベトナム国籍が必要で、外国人は資格取得できません。また、日本の資格(通訳案内士)はベトナムでは使えません。

国際資格を取るには国籍のほか、大学のツアーガイドの学位か大卒でツアーガイド研修を修了したこと、1ヶ国語以上の外国語が堪能であることなど、厳しい要件があります。外国人ツアーを扱う旅行会社は、3人以上の国際ツアーガイドの雇用が義務付けられているため、慢性的なツアーガイド不足。そのため、有資格者の名義貸しが行われているのが実情のようです。

無資格のガイド行為は行政罰金の対象となるほか、外国人の場合は国外退去処分となる可能性があります。中には、ローカル企業のベトナム人社員が外国からの来客を観光地に案内しただけで、無資格ガイドとして罰金を科されたという事件も報道されています。無料でガイドするのに資格は不要なので、報道が事実であれば行きすぎだと思われます。

さらに、無資格の外国人ガイドは、ベトナムの歴史や文化を歪曲して説明しているという非難も受けています。旅行業法の「ツアーガイドの禁止行為」には、国家主権・国防・社会秩序に関する誤った情報提供、民族のイメージ・伝統・道徳・慣習を損なう行為、ベトナムの伝統・文化的価値の誤った説明、などが含まれています。ツアーガイドはベトナムを代表して、外国人観光客に正しいベトナムの姿を伝えることが期待されているわけで、なかなか大変な仕事ですね。

小幡 葉子
Obata Yoko
TMI総合法律事務所ハノイオフィス勤務。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。1992年より雨宮眞也法律事務所にて企業法務を担当、JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
www.tmi.gr.jp