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016年7月から施行が延期されていた新しい2015年刑法が、ようやく来年1月1日から施行されます。新刑法では多くの法定刑が引き下げられ、通貨偽造罪もその一つです。

現行の1999年刑法では、ベトナム通貨や外国通貨の製造・保管・輸送・流通を行った場合、結果の重大さによって3年~無期の懲役または死刑に処せられ、さらに付加刑として1000万~1億VNDの罰金等が科せられます。

これに対し、新刑法では、製造・流通行為のみ処罰され、保管・輸送行為は非犯罪化されたほか、法定刑が懲役6ヶ月以上7年以下へと軽減され、さらに少量の偽造は罰金刑(3000万~1億VND)または非拘束矯正(3年以下)の言い渡しも可能となり、付加刑の罰金額も500万~5000万VNDに減額されました。

もしも、偽札らしい紙幣を受け取った場合は、ただちに最寄りの警察署、国家銀行本支店、国境検問所、税関に届けましょう 。通報を怠ると行政違反処分(警告)の対象となります。警察の鑑識結果で本物のお札と確認されれば返却され、偽札と判明すれば没収後、国家銀行により廃棄または資料として保存されます。偽札と気付いた後で支払に使うと、流通罪に該当することがありますので、絶対にやめましょう。

筆者の知人で、タクシー料金のおつりに、お供え用の「冥府銀行券」を渡された人がいます。これは一目でおもちゃとわかるので、そもそも偽造通貨には該当しませんが、本物そっくりのイラストやコピーを使うと、模造行為として行政罰金(4000万~8000万VND)が科せられます。

知人によると、タクシーの車内が真っ暗で気付かなかったとのこと。読者の皆様もどうぞご注意を。

小幡 葉子
Obata Yoko
TMI総合法律事務所ハノイオフィス勤務。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。1992年より雨宮眞也法律事務所にて企業法務を担当、JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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