務中に従業員が怪我をしてしまいました。会社としては、どのように対応すればよいでしょうか。

まず、当該従業員または事故発見者は直属上司および雇用者に報告し、会社は当該従業員の応急救護を速やかに行う義務があります。その後の雇用者の対応は、当該従業員のケガの程度により異なります。

死亡または2人以上の重傷者が発生した場合は、速やかに事故発生地の省級労働当局に口頭または電話、ファックス、電子メール等により、労働災害の発生を申告する必要があります。また、死亡事故の場合は速やかに郡レベルの公安当局にも報告しなければなりません。

そして、雇用者の代表者、労働組合の執行委員、労働安全保健担当者等で構成される社内の労働災害調査団(軽傷又は1人の重傷者の場合)、あるいは省レベル(死亡又は2人以上の重傷者の場合)や中央レベルの労働災害調査団(複雑な労働災害である場合)が設置されるようになります。これらの調査団で調査した調査記録書や会議議事録を、負傷した従業員や所轄機関へ送付すると同時に、職場に掲示しなければなりません。

怪我をした従業員に対しては、応急救護及び治療に掛かる費用を立て替えるとともに、健保負担分以外の治療費を支払います。加えて、治療と労働能力が回復するまでの休職期間中の賃金を、全額支給する必要があります。労働能力喪失率の医学鑑定、治療、介護、リハビリ機関等に照会し、労働能力喪失率及び労働災害の発生に関する従業員の過失の有無により、補償または手当支給を行います。

上記手続きの概要を理解しつつ、事前の予防措置を講じ、安全な労働環境を整えましょう

小林 亮
Kobayashi Ryo
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィスに勤務する、日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスにて多数の東南アジア案件を担当後、2014年3月よりホーチミンオフィス駐在。
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