トナムではFacebook等のSNSを通じた物品販売が非常に盛んであり、近年、政府もこうした販売を行う個人への課税を無視することができず、どのように課税するかが課題になっています。

従前より、年間売上高が1億VNDを超える個人について、各種税法に従い課税できましたが、税務当局がSNSでの商品販売活動による売上げを把握することは困難です。そのため、現実的には税務申告をしている個人売主はほとんどおらず、彼らは納税していない状況でした。

一方、脱税行為に対しては追徴課税、未納額の最大3倍の行政罰としての罰金の他、刑罰としての罰金および有期懲役を科される可能性もあります。

EC販売について定める政令第52/2013/ND-CP号(52号政令)は、売主(個人を含む)が法令に従い税金を支払う義務を負うと規定していますので、SNSが52号政令に定めるEC販売サイトに該当すれば、課税根拠が一つ増えることになります。もっとも、SNSを通じた商品販売はベトナム国内で行われるとしても、Facebook等のSNSはベトナムのドメインを使用していないことが多いため、52号政令に定めるEC販売サイトに該当するか否かは、解釈により分かれ得るところと考えられます。

一部の地方税務当局は、SNS上の通信物品販売の売主に対し、税務申告するよう求めるメッセージを送信したそうです。その結果としてかどうかわかりませんが、最近、ホーチミン市税務局がFacebookで化粧品を販売していた個人売主に、申告漏れで91億VNDを追徴課税したそうです。報道によれば、税務局は銀行から情報やデータを収集して4000億VNDの収入があったと確定したようです。今後の課税強化を見守る必要があります。

小林 亮
Kobayashi Ryo
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィスに勤務する、日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスにて多数の東南アジア案件を担当後、2014年3月よりホーチミンオフィス駐在。
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