年、安定した経済成長を続けていることや、電子マネーサービス、Fintech などの消費者金融会社のサービスが充実してきたことを背景に、消費者金融市場が大幅に拡大しています。

他方で、ベトナムでは従来、モノを質にお金を借りることが多く、質屋業は当局への登録が必要となっています。しかし、無登録で質屋を営業し、しかも月10 ~ 30%などの超高利で貸すような闇金融に関する事件が後を絶たず、経済および社会に悪影響を与えています。

闇金融業者への刑事罰について、現行刑法第163条は、法定上限金利(20%)を超える金利で搾取的な金融を行った者は、利息額の1 倍以上10 倍以下の罰金または1 年以下の非拘束矯正刑に処し、巨額の不正利益を得た者は、6 ヶ月以上3 年以下の懲役に処すと定めています。

もっとも、「搾取的な金融」や「巨額の不正利益」の文言が不明瞭であり、高利金融罪に関する施行細則も出ていないこともあって、高利金融罪で刑事責任を追及することが難しい状況です。

既に公開され、施行待ちとなっている新刑法によれば、民事取引において民法に規定する上限金利の5 倍以上の金利で貸付け、3000 万VND 以上の不正利益を得たときは、原則として5000万以上10 億VND 以下の罰金または3年以下の非拘束矯正刑、6 ヶ月以上3年以下の懲役刑に処せられる可能性があります。このように新刑法は、闇金融対策を強化しています。

日本でも闇金融が社会問題となった時期がありました。今後ベトナムでも、消費者金融市場が拡大するにつれて闇金融への需要も増えてしまい、社会のより広い階層に被害が拡大して、将来は社会問題化するかもしれません。

小林 亮
Kobayashi Ryo
TMI総合法律事務所ホーチミンオフィスに勤務する、日本国及びベトナム外国弁護士。東京オフィスにて多数の東南アジア案件を担当後、2014年3月よりホーチミンオフィス駐在。
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