号ではベトナムの個人所得税(以下PIT)について述べましたが、今回はPIT 法上の「居住者」・「非居住者」の判定方法を説明します。

まず、会社ではなく、「個人」単位であることがまずポイントです。一人一人、自分で必ず確認して下さい。「居住者」の判定方法には大きく2 つ、「①滞在日数」と「②居所」があり、いずれかの基準に該当する者は「居住者」と判定されます。以下の判定に該当しない外国人は「非居住者」となります。

①滞在日数基準。「暦年中(1 月1 日~ 12 月31 日)」、または「入国日から起算し連続する12 ヶ月以内」において、延べ183 日以上ベトナムに滞在している者は、「居住者」と判定されます。実務上、日数計算はパスポートに押印された、いわゆる出入国スタンプに基づき行われます。
②居所基準。ベトナム独自基準のため、よく理解し、留意する必要があります。一時滞在許可証(TRC)の保有者は、公安局より外国人一時滞在確認書を入手するため、「居住者」と判定される懸念があります。また183 日以上の賃貸借契約に基づき賃借する住居等も、居所と判断される場合があります。

留意点として、②は賃貸契約期間で判定されます。法人名で契約など契約名義の如何を問いません。ただし、2010 年9 月8 日付オフィシャルレター3473/TCT-TNCN によると、外国人がベトナムで183 日以上の賃貸借契約を所持するものの、ベトナム滞在日数が90 日以上183 日未満である場合に、当該外国人がベトナム以外の国の「居住者」であることを証明できれば、ベトナムでの「非居住者」と認定されます。

次号では、「居住者」と「非居住者」それぞれの、PIT の取り扱いについて解説します。

津田 栄治
Tsuda Eiji
AGS ハノイ事務所に勤務する日本国公認会計士試験合格者。住宅メーカー・商社で海外駐在。メーカーでの経理を経て、2013 年より現職。法人設立、会計税務などを担当。
http://ags-vn.com