回は事業拡張投資(以下拡張投資)における法人税(以下CIT)優遇について、通達96第10条4項に従って説明いたします。

最初に、CIT優遇は投資法における奨励分野および奨励事業について適用されるため、拡張投資がこれに該当するかどうかを確認する必要があります。また、設立時の総投資額の範囲内での投資は拡張投資に含まれないため(OL4769/BTC-TCT)、資本金額や総投資額の増加に伴い、投資ライセンスの変更を伴うのが通常となります。

次に、拡張投資は以下の3つのいずれかを満たす必要があります。

①追加された固定資産が奨励分野の場合は200億VND以上、奨励地域の場合100億VND以上であること。②追加された固定資産の取得原価が、拡張投資前の固定資産の所得原価の20%以上であること。③追加された生産能力が、拡張投資前の生産能力の20%以上であること。

拡張投資に対するCIT優遇の内容は以下の2つから選択します。

①拡張投資前の優遇を継続して拡張投資にも適用すること。②新規投資に適用されるのと同様の減免税(優遇税率は含まない)を適用すること。

拡張投資に対して減免税を適用する場合、原則として従来の投資と分けて管理、計算を行いますが、それが困難な場合、固定資産の取得原価によって従来の投資と拡張投資の課税所得を按分し、適用する税率を決定します。

最後に、拡張投資についての優遇は当該投資に対する課税所得が発生してから開始するものの、売上が生じてから3年間課税所得が生じない場合は、4年目から自動的に開始されます。税務プランニングに当たっては、その他の事業から生じる損失の状況、欠損金の利用状況も考慮に入れて検討することをお勧めいたします。

吉田 俊也
Yoshida Shunya
AGSホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。日本の大手メーカーでの経理を経て2014年より現職。原価計算システム構築、連結決算、国際会計基準対応などに強みを持つ。
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