今回から第8号までは、ベトナムで働く皆様の会社に関係する、ベトナムの法人所得税(以下CIT)を解説して参ります。

CITは法人を対象として課税され、駐在員事務所には課税されません。ベトナムのCIT法は、日本と同様、課税所得に法人所得税率を乗じてCIT税額の計算を行います。課税所得とは、益金の額から損金の額を控除したものになります。

実務上は、監査済み財務諸表の当期純利益に損金不算入項目を加算し、益金不算入項目を減算して、課税所得を算出します。法人所得税率は原則22%が適用され、年間売上200億VND未満の法人は20%が適用できます。2016年1月以降、当該税率は原則20%への変更が決定されています。一定の条件を満たすことにより、優遇税率(10%、20%)も適用できます。

課税年度と会計年度は一致させる必要があり、ベトナムでは3月、6月、9月、12月のいずれかの決算月を選択できます。申告および納税は、四半期ごとに仮申告および仮納税、年度ごとに確定申告および納税(または還付)を行うことになります。四半期申告の提出期限は翌四半期開始月の30日まで、確定申告の提出期限は課税年度末から90日以内となります。

課税所得を算出した結果、その金額がマイナスとなった場合、当該金額は税務上の欠損金となり、最大5年間繰り越すことができます。5年以内であれば、充当する課税年度は自由に選択できます。税引後利益は課税なしで配当することができます。ただし、累積欠損金がある法人の場合は、利益配当が認められない点に留意する必要があります。

次号はCITの損金算入項目と不算入項目に関する解説となります。

津田 栄治
Tsuda Eiji
AGS ハノイ事務所に勤務する日本国公認会計士試験合格者。住宅メーカー・商社で海外駐在。メーカーでの経理を経て、2013 年より現職。法人設立、会計税務などを担当。
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