んにちは、AGSの辻です。さて今回は、日本の消費税に類する付加価値税(VAT:Value Added Tax)がテーマです。本稿ではとりわけ、役務提供に関するVATの輸出免税についてご説明します。

通達219/2013/TT-BTC第9条において、物品および役務の輸出に対しては、VATの免税が適用できる旨が規定されています。

物品の輸出であれば、通関という輸出に必要な手続きが存在し、通関申告書という輸出取引であることを証するに十分な証憑を得ることができるため、その取引が輸出に該当するか否かの判断が容易かと思います。また、通関申告書は同通達同条において、輸出免税適用の必要書類としても明記されています。一方、役務の場合、通関手続きが存在しないだけに、実態判断による部分が大きくなります。

そもそも、輸出された物品や役務とはどのように定義されているのでしょうか。同通達同条によれば、ベトナム国外の組織および個人に対して販売され、この組織および個人によって消費された物品および役務とされています。つまり、役務がベトナム国外で消費されたのであれば、その役務提供に関わるVATに対しては、免税措置が適用できると考えられます。しかし、役務という実態のないものがベトナム国外で消費されたことを証明するのは困難であり、具体例を示す、ベトナム政府からのより詳細なガイダンスが待たれるところです。

いずれにせよ、契約内容の工夫や、その他関連証憑の整備、個別の税務署確認等の対策により、免税の否認リスクを少しでも低減すべきかと思います。ベトナム国外への役務提供を行っていらっしゃる企業様は、一度専門家にご相談されてはいかがでしょうか。

辻 雄太
Tsuji Yuta
AGSホーチミン事務所に勤務する米国公認会計士。日本の大手メーカーでの勤務を経て2015年より現職。国際税務・国際会計基準対応などに強みを持つ。
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