賢者の税務・会計術 vol.024

資本譲渡と事業譲渡の違いについて

こんにちは、AGSの貝沼です。近年、事業拡大や販路の拡大を目的とし、M&A(企業の合併や買収)による新規参入のご相談が増加しております。

今回は代表的なM&Aのスキームである、「資本譲渡」および「事業譲渡」についてご案内します。

資本譲渡と事業譲渡の一番の違いは、売買の対象物にあります。前者は「持分」を、後者は「事業」を指しています。資本譲渡は、既存の会社の持分を買収し、その会社自体の所有権の一部、または全部を取得することを言います。

新たに会社を設立する必要がないため、事業譲渡と比べて短期間で譲渡手続きを進めることができます。しかし、簿外債務、偶発債務、未払税金債務も引き受けることになりますので、税務デューデリジェンス(以下、税務DDという)等により、税務リスクを把握した上で、投資の意思決定をする必要があります。税務DDの結果、買収対象会社の税務リスクが一定数あると判断された場合は、目的とする事業を行うために必要な資産やノウハウのみを買収する、事業譲渡にスキームを切り替えることも考えられます。

外資規制のハードルや税務リスクも確認を

事業譲渡によってベトナムに進出するためには、事業の受け皿となる会社が新たに必要です。会社設立後に事業譲渡を実施するため、一般的に資本譲渡よりも時間を要します。

M&Aによりベトナム進出をご検討される際には、外資規制のハードルや税務リスクの把握、投資スキームの決定等、様々な専門知識が必要となるため、専門家にご相談されることをお勧めします。

貝沼 義斗
AGSハノイ事務所勤務。官公庁での税務業務、青年海外協力隊を経て、2018年より現職。ベトナム語を猛特訓中。
A. I. Global Sun Partners JSC
ハノイ市事務所
電:024-3974-4761
E-mail:info@ags-vn.com
ウェブサイト:
http://ags-vn.com