ベトナムに工場の拠点
輸入車関税ゼロが勝機 Vol.31
Bridgestone Tire Manufacturing Vietnam LLC
2014年に新工場を稼働させた、ブリヂストンの100%子会社であるBridgestone Tire Manufacturing Vietnam LLC(BTMV)。ベトナムに建設されたこの新工場は、既に世界展開の一翼を担っている。
2014年に工場稼働

―― 御社がベトナムに設立された理由は何でしょうか?
杉山 動きの速い市場の要求に応えて、お客様に高品質な製品を提供するため、ブリヂストンは世界中に生産拠点を持ち、配分システムを検討し続けています。ロケーション、労働コスト、生産コスト、施設やセキュリティなど様々な要素を調べて評価した結果、ベトナムの経済発展性や勤勉で熱心な労働者などが高評価となり、投資に相応しい国だと結論付けました。
北部のハイフォン市にある工場は2014年4月から稼働しており、乗用車用ラジアルタイヤを生産しています。ヨーロッパ、北米、アジア太平洋の各市場への輸出基地となっています。
2016年には今後の生産量を増やす目的で工場に階段を増設するなどしており、現在は1000人以上の従業員が働いています。日本以外にブリヂストンはアジアで10の工場を持っていますが、BTMVは9番目に大きな工場になります。
―― 国内市場ではどんなタイヤが売れていますか?
杉山 ホーチミン市にあるBridgestone Tire Sales Vietnam LLCが国内販売を担当しています。例えば、贅沢なセダンに使われる「TURANZA GR-100」、燃費を減らして環境に優しい「ECOPIA」、スポーツカー用の「POTENZA」などで、その他にも「TECHNO」をはじめとする一般的な車に使う製品もあります。
ベトナムは人口が約9200万人と多くても、1人当たりの自動車の保有率はまだ少ない。近年の経済成長に伴って人々の所得増が見込まれることから、今後は車に対する要求が強くなって、購入者も増えるでしょう。タイヤの生産と消費にも好影響を与えると思います。
―― ベトナムの特徴とは何でしょうか?
杉山 まず、投資環境で有利な点がいくつかあります。一番魅力的な要素は、ベトナム政府が投資環境を改善して、外資を得るために多くの好意的な政策と方向性を打ち出していることです。2番目は、若くて、勤勉で、熱心で、知識を身に付けたいと考えている労働者が多いことです。
ただ、まだその潜在力を十分に発揮しているとは言いにくい。経済成長率はASEAN諸国をはじめ世界各国に比べればまだ低いですし、経済、社会、環境という長期間の成長に必要な3要素への課題もあります。
それでも世界で有名なタイヤメーカーがベトナムに進出している理由は、タイヤの原材料である生ゴムが取れるのと低い労働コスト、中国のタイヤの輸出税が8%に対してベトナムは0%だからでしょう。

BTMVの工場
地場企業を参考に
―― 2018年に輸入車の関税がなくなり、ベトナムの自動車産業が大きく変わりそうです。
杉山 自動車部品と小型車においては、輸入車のタックス削減で最高の利益を受けると思います。そして、このタックス削減はタイヤメーカーにも大きなチャンスを与えます。
つまり、ラジアルタイヤをはじめ小さな車に使われるタイヤは、ベトナムのタイヤ産業の利益が一番高いものになるだろうからです。生ゴムの原材料価格がこの数年で下がっているので、BTMVが成長するチャンスともなります。
市場の変化に合わせて、近い将来に長期的な戦略と相応しい計画を立てるつもりです。
―― ベトナムで成功する方法とは何でしょうか。
杉山 これは個人的な考えですが、ベトナムに投資して事業を確立したければ、ローカルのベトナム企業のように考えることが大切だと思います。投資や長期的な戦略から社会貢献活動への参加まで、これらの全ての活動を調和できる会社は、ベトナムにおける持続的な成長と成功が期待できます。
我々は本社内に排水処理設備を完備しており、2015年には道路の清掃の他、紙、水、電気の節約で毎日CO2を減少する運動、2016年にはサムソンビーチのゴミの収集と撤去など、アクティビティでの環境保全も実施しています。こうした地道な活動も、社会的に大きな意義を持つのだと思います。
―― 最後に、今後の予定を聞かせてください。
杉山 ブリヂストンは既に世界で成功したブランドと考えます。そして、この成功を達成するために、創業以来守ってきた伝統的なフィロソフィーがあり、これにより企業運営をしています。それは創業者の理念に基づいた、「Serving Society with Superior Quality」(最高の品質で社会に貢献)というミッションです。
これを完成させるためには、スタッフがお客様に上質な製品とサービスを提供する必要があり、これが持続的なお約束であるという意味からブリヂストンのミッションとしています。これからも世界に認められる「断トツの会社」になるための努力を続けます。
SUGIYAMA TAKESHI
General Director 代表取締役社長
杉山武司
1969年生まれ。大学卒業後、1993年にブリヂストン株式会社に入社。約20年間、トラック&バス、建設車両、オートバイ、航空機、農業機械用のタイヤの生産技術に携わる。佐賀県のブリヂストン鳥栖で工場長を2年間勤めた後、2016年8月に現職。
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