中間層にも可能性 ビジネスを多様に広げたい
三菱電機ベトナム vol.11
ベトナム総合販売会社を設立して4 年。家電から業務用機器まで幅広く展開する三菱電機ベトナムは、全63 省に販売、サービス網を持つ。今年4 月に赴任した2 代目社長の穎川氏は、ベトナムでの様々なポテンシャルを語る。
主力商品は白物家電 業務用エアコンも
―― 御社はどんな製品を販売しているのですか?
穎川 主力商品はエアコン、冷蔵庫、扇風機などです。主なものはタイの工場から、高級品や特殊な製品は日本から輸入しています。FA(ファクトリーオートメーション)機器もありまして、こちらは産業用電機機器の販売とカスタマーサービス&サポートが中心です。
エアコンは家庭用と業務用の2種類があり、売上げとしては家庭用ルームエアコンが大きいですね。
―― 業務用はどんなところに?
穎川 オフィスビル、高級コンドミニアム、リゾートホテルなどへの納入が多く、最近は、病院からの引き合いも増えています。病院内では細かな空調管理が必要なので、過去の弊社製品の納入実績から興味を持っていただいているようです。
マルチエアコンというのですが、建物全体の空調を集中管理できる製品があります。空調したい場所を空調したい時間に運転できますし、省エネにも有効です。業務用換気システムや、ヒートポンプを使った温水システムも幅広く取り扱っております。
業務用に比べるとルームエアコンは参入メーカーが多く、日系企業を含めてかなりの激戦になっています。
―― エアコンが売れるとなると、扇風機のニーズはさほどでも?
穎川 それがそうでもないのです。ベトナムでは扇風機のニーズは高く、弊社製品の販売も好調です。種類にもよりますが、同サイズで中国メーカーの倍以上という価格の製品もあります。ただ、品質面、性能面、信頼性で高い評価をいただいていると思います。また、仮に値段が倍以上であっても、購入いただく価値は倍以上だと自負しております。
―― ショールームには冷蔵庫も並んでいますが、どれも大型の高級品です。
穎川 冷蔵庫は北と南でマーケットが全く異なります。北部では比較的大型にニーズがあるのに対して、南部では低価格の小型2ドアタイプが売れ筋です。最近の共通トレンドは、「インバータタイプの冷蔵庫」です。購入される方がインバータの詳細を理解するのは難しいようですが、「最新」や「省エネ」といった良いイメージがあるようで、最近の冷蔵庫売場ではインバータモデルが主力になりつつあります。弊社もマーケットの動向を見ながら、インバータモデルを更に強化していくつもりです。
未展開の製品やインフラ系にもチャンス
―― 2011年に現在の販売会社を設立されたとか。
穎川 はい。それまではタイ工場、シンガポール販売会社の代理店経由で販売していました。ベトナム市場の将来性は高く、2011年7月に進出。現在はホーチミン市本社の他にハノイとダナンに支店、全63省に販売、サービス網があります。
―― 今年赴任されて、ベトナムをどう感じていますか?
穎川 赴任前にも出張ベースで何度か来ていたので、ベトナム人は真面目で手先が器用、モノづくりのポテンシャルが高い国だと感じていました。赴任して改めて思ったのは親日家であること。それもただの親日ではなく、「日本が大好き!」というイメージでしょうか。
例えば、白物家電における中国メーカーの存在感はどの国でも大きいのですが、ベトナムではさほどでもないと感じます。また、韓国メーカーは力がありますが、ベトナム人は日本ブランドを上に見ていますよね。
―― その背景には日本への信頼感があると。
穎川 そう思います。弊社の三菱ブランドも認知されていますし、高くても良いものを買いたいという中間層の増加を実感しています。ベトナムにはプレミアム製品が拡大する素地があると思っています。
―― 今後の戦略をどう考えていますか?
穎川 ひとつは、グループ会社である三菱エレベータベトナムとの更なる連携強化です。数多くのビルにエレベータ納入の実績がありますので、今後は弊社の業務用空調、換気や受配電機器などと組み合わせた提案を進めたいと考えています。
もうひとつは、まだベトナムで展開していない事業の展開です。エアコンに近い製品なら空気清浄機や除湿器などの需要があると思いますし、白物家電なら掃除機や炊飯器などが現在の製品とのシナジー効果も出せるでしょう。電力不足、環境問題も顕在化していますので、電力システム、太陽光発電、環境関連事業にも大きな可能性があり、交通システムや通信システムなどの社会インフラ系にもチャンスがあると思います。
ベトナムのポテンシャルは極めて高いので、現在の事業をしっかりと進めながら、多様なビジネスを展開させたいですね。
MITSUBISHI ELECTRIC VIETNAM CO., LTD.
Managing Director 穎川剛志
1964年生まれ。大学卒業後に三菱電機株式会社に入社。精密加工機械やFAなどの部門から経営企画室、海外営業部、国際事業部などを経て、2015年4月に初の海外赴任で来越して現職。
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