回はExport Processing Enterprise(輸出加工企業:EPE)について、ベトナム国内企業(Non-EPE)との取引における注意点を解説して参ります。

EPEとは保税区の考え方に近く、EPEが輸入する原材料等については、最終的に国外に輸出することを条件に、輸入関税及びVATが免除されている企業を言います。最初にベトナム国内企業の注意点になります(通達38/2015/TT-BTC75条3項)。

①EPEへの販売は海外企業への販売と同様の経済実態となるため、輸出通関が必要となり、必要な資料の保管等を条件にVAT0%(輸出免税)を適用できます。

②EPEからの仕入れは海外企業からの仕入れと同様の経済実体となるため、輸入通関および輸入税・VATの支払いが必要となります。EPEへの製造委託も同様です。

EPEの注意点には以下があります(同通達76条2項)。

①製品売買を伴う場合(EPEが製品の所有権を持つ場合)は、完成品に使用した原材料で国外から購入したものについては、完成品それぞれにつきどれだけ使用したかを計算する必要があります。また、販売時には通関を行う必要があります。

②受託生産の場合(EPEがベトナム国内企業からの受託企業となる場合)は、EPEでの通関は不要です。ただし、ベトナム国内企業は通関および輸入税・VATの支払いが必要となります。

ベトナムの国内企業にとって、EPEは魅力的な製造技術・設備を持っている場合があり、EPEにとっては販路拡大等のため、国内企業との取引が大切になります。EPEと国内企業の取引では、上記の点に注意して、EPEとして受けている恩恵の潜脱行為にならないよう注意する必要があります。

津田 栄治
Tsuda Eiji
AGS ハノイ事務所に勤務する日本国公認会計士試験合格者。住宅メーカー・商社で海外駐在。メーカーでの経理を経て、2013 年より現職。法人設立、会計税務などを担当。
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