日本の自治体、 ベトナムを駆ける!
推奨店でブランド化
茨城県が常陸牛の輸出に取り組んだのは今から2年前。2014年3月にベトナム国家主席の来県を契機に、ベトナムとの間に「農業における協力関係強化に関する覚書」を締結。同年6月にはJETRO茨城を開所させ、10月には知事をはじめ県職員や関係者約100名で来越する。目的は農業分野の協力促進の他、県商工業の海外展開促進や友好交流促進などで、一気にベトナムとの距離が縮まった。
「JETRO茨城の西川所長の前赴任地がベトナムで、豊富なネットワークを活かして県内の産業とベトナム企業を結びつけたこと、知事自らがベトナム政府にトップセールスをしたことが、10月のスピード輸出の理由でしょう」
常陸牛には「常陸牛海外販売推奨店」という制度があり、正規ルート(現地指定のサプライヤー)から購入した常陸牛の料理を年間を通じて提供する店舗を、推奨店としている。常陸牛のブランド力アップだけでなく、輸入業者は取扱い店舗が増えると年間輸入量の特定やリピートオーダーの確定ができ、レストランには常陸牛の販促物の使用やプロモーション支援などが受けられる。消費者には確かな品質が保証される。
知事団来越の折にはシェラトン・ハノイホテルで、ベトナム大使館、在越日系企業、ベトナム政府要人など約200名の盛大なレセプションが開かれ、常陸牛のにぎり寿司、しゃぶしゃぶ、ステーキを提供。これをきっかけに同ホテルは推奨店のベトナム第1号となった。2016年1月現在、ベトナムに合計3店舗があり、同様の制度で日本には517店舗がある。
出荷目標は合計5千kg
茨城県常陸牛振興協会では推奨店を作るだけでなく、食品展示会やJETRO主催の商談会、現地サプライヤーに同行したレストランオーナーとの直接交渉などを進めており、2014年10月に輸出を始めてからの累計出荷量は、既に800kgを超えている。
「常陸牛の魅力はリーズナブルな価格なのに和牛の美味しさを味わえること。かつ、生産頭数が約1万頭で安定供給ができるため、輸出に適しています。ベトナムの方の評判も良く、レストランのウェイターさんなどは、『間違いなく満足いただけるので常陸牛を勧める』と言ってくれています」
茨城県ではベトナムの他にタイにも出荷を開始、アメリカにも輸出準備をしており、目標は3ヶ国合計で出荷量5000kg(2016年1月現在1600kg)。
将来的には富裕層を対象に、家庭向けに精肉や加工品を販売できる仕組み作りを目指している。
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