マネジメント層の転職意識  日系企業は採用力の向上を

リーダー、マネジメント層以上の人材紹介に特化するJACリクルートメント。
求職中でない人材にアプローチすることも多く、ヘッドハンター的な役割も担う。
外資系やローカル企業からの依頼も多い同社が、マネジメント層の意識を語る。

マネジメント層を動かす「面白さ」や「やりがい」

General Director
加藤将司氏

顧客は日系企業が約6割、他は外資系企業が多く、ローカル企業からの依頼もある同社。日系企業に多い求人職種はセールスマネジャーで、マーケティングマネジャーや小売店のストアマネジャーも少なくないという。この数ヶ月間の傾向では、HR(人事)マネジャーの求人が目立つそうだ。

「欧米系企業では事業の立ち上げ時にこうしたポジションを重視しますが、日系企業はまず窓口となる日本語人材を求めます。それが変わりつつあり、組織をしっかり作ろうとしているのでしょう。優秀なHR人材ならネットワークが広いですし、転職者のリテンション(退職の引き留め)もできますから」(加藤氏)

同社の登録者は数千人規模だが、優秀なマネジャー層はなかなか登録しないので、各コンサルタントのネットワークなどを駆使して探すという。また、初対面でCV(履歴書)を渡すことは少なく、二度、三度と会って信頼関係を築いていく。特にベトナム人は口コミや紹介で人材紹介会社やコンサルタントを決める傾向があるようだ。

「相手が求職中なら給与や待遇などを話しますが、現状に満足している場合は、待遇+αが必要になります。リスクを取ってもリターンがあることを掘り下げて伝えます」(宮原氏)

ここで皆が希望するのは「面白い仕事」であり、詳しく聞いていくと「やりがい」になるという。中でもスタートアップの事業が好まれ、上のポジションの人ほどその傾向が強いという。給与や待遇も大切だが、「自分が必要とされている」、「この人の下で働きたい」などがモチベーションになるようだ。

優秀なベトナム人は外資やローカルも狙う

Consultant
宮原優紀氏

日本語人材では、製造業からのニーズが多く、IT、商社、会計事務所や法律事務所など業種は幅広いという。ただ、求人が増加しており、給与も上がっているため、英語だけでオペレーションできる仕組みを各社が考えているようだ。

「ゴールデンエイジと呼ばれる、33~43歳くらいの日本語人材は本当に優秀です。留学が難しかった時代に、厳選されて国費や財団の援助を受けられた粒ぞろい。雇っている会社も手放しません。ですから、相手から売り込みがあったら、逆に要注意ですよ(笑)」(加藤氏)

優秀なベトナム人を採用するためには、日系企業は採用力やプレゼンスを上げたほうがいいという。他の外資系企業に比べて日系企業は給与が低めで、権限移譲などが少ないためだそうだ。

「安く雇いたい気持ちはわかりますが、日系同士で取り合っているわけではないのです」(加藤氏)