ットボトルにハエ! 想像するだけでゾッとします。昨年話題になった「ボトル飲料ハエ混入事件」では、キエンザン省の食堂経営者の男性が、飲料メーカーに口止め料として10億VNDを要求。同社から5億VNDを受け取る現場で警察に逮捕され、恐喝罪で7年の実刑判決を受けました。

ところが事件の発覚後、同社製品に対する苦情が相次ぎ、ベトナム消費者保護協会カマウ支部は、同社の未開封のドリンク約100本に不純物が混入していたと公表しました。同社製品のボイコットが広まり、さらに同社広報担当が「アップル社でさえ不良品を出すのに、年に1億本も販売すれば100%安全なはずがない」と発言して、世論の強い批判を浴びました。

ベトナム消費者権利保護法は、欠陥商品へのクレームに関し、以下の制度を設けています。

①消費者・消費者保護団体は、県(大都市では区)級の消費者保護当局に対して、製造・輸入・販売業者の処分(商品・サービスの販売停止、事業者の営業停止、消費者に不利な契約条項の削除など)を要請できる。当局は当該要請者に対して結果を書面で回答する。

②同法に基づいて設立された消費者保護団体は、公益のために裁判所に訴訟を提起するなど、消費者保護の権限を与えられている。

③訴訟以外の解決方法として、事業者との協議(消費者から協議の要請を受けたときは、7営業日以内に協議に応じ、協議結果を書面化する)、および行政による和解・仲裁の制度がある。

上記の事件では、消費者と事業者が共に適切に対応できませんでしたが、今後は法律に基づく対話を通じて、商品の安全性向上が期待されます。

小幡 葉子
Obata Yoko
TMI総合法律事務所ハノイオフィス勤務。日本国弁護士・ベトナム外国弁護士。1992年より雨宮眞也法律事務所にて企業法務を担当、JICAベトナム法整備支援長期専門家などを経て、2013年4月より現職。
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