号より全3回、経理の内部統制について解説いたします。初回は、社内で準備しておくべき書類についてです。

これらの書類は経理の基礎になるだけでなく、決算数値によらず、大まかな会社の業績を把握する上でも役立ちます。以下にそれぞれ、作成する資料、各資料において必要な項目、突き合わせ方法の順で説明させていただきます。

はじめに、現金預金について、銀行口座ごとの入出金管理シート、手元現金管理シート、各銀行口座および手元現金をまとめたレポートの作成を行います。必要な項目は、インボイス番号、入出金内容、購入先および取引先の名前等となります。突き合わせは、手元現金は現金実査によって、預金は各銀行より残高証明を取得することによって行います。

次に、売掛金および買掛金について、債権債務リストの作成を行います。必要な項目は、取引先名(コード)、インボイス発行日、期首・期末残高・期中増減額となります。また、前受金・前払金の管理も併せて行うことをお勧めいたします。突き合わせは、期末時点で確認状を送付することによって行います。

最後に、在庫について、棚卸資産受払表の作成を行います。必要な項目は、製品・商品名(コード)、インボイス番号、数量および金額の期中増減となります。突き合わせは、実地棚卸によって実際に在庫を数えることによって行います。

これら書類の作成は、週次で管理を行い、少しずつ改善していくことをお勧めいたします。次回は、これら資料作成時の注意点やどのように経営管理に役立てるべきかという観点から、内部統制について解説させていただきます。

吉田 俊也
Yoshida Shunya
AGSホーチミン事務所に勤務する日本国公認会計士。日本の大手メーカーでの経理を経て2014年より現職。原価計算システム構築、連結決算、国際会計基準対応などに強みを持つ。
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