市場に影響を与える大きな「断絶の変化」

今年のノーベル経済学賞の受賞テーマは、世界の持続可能(サステイナブル)で長期的な成長を支える方法でした。

なお、2015年のパリ協定では、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする脱炭素社会へ向けた長期目標が掲げられました。また、このパリ協定で合意された温室効果ガスの排出量削減目標を達成するためには、現在確認されている化石燃料埋蔵量の2割しか使えないことが明らかになっています。

「サステイナブルな経営」の実現に向け、私たちは「断絶の変化を超える」経営を推奨しています。効率的、効果的に市場のニーズに敏感に応えるべく組織を変えていくだけでなく、今ある市場すべてに影響を与えるような大きな「断絶の」=「非連続の」変化を乗り越えていく変革力が求められています。

断絶の変化の一例として、社会の脱炭素化と人工知能(AI)を含むデジタル革命が例に挙げられます。パリ協定の目標「社会の脱炭素化」を例に考えてみましょう。

「脱炭素」やAI化がもたらす変化

暮らしの中に、化石燃料を使わずに手に入れられる製品やサービスがどのぐらいありますか? 化石燃料を使わずにどのぐらい移動できるでしょうか。日々、私たちは化石燃料や原子力エネルギーに大きく依存して生活を送っています。

今ある製品やサービスによる「私たちを幸せにしてくれる機能」が、将来は「脱炭素」というまったく異なる制約条件の中で提供されることになります。当然、製品やサービスの形は大きく変わるでしょう。

また、約半分の職種がAIに置き換えられ、それ以外の職種もAIにより効率化されるという大きな変化も想定されています。それらの変化に伴い、従来型の労働による賃金が減ることが予想されます。

変化は変化でも「断絶の変化」は思ったより手強く、将来の社会を予測し、バックキャスティング経営を模索する企業が、将来のリーディングエッジを取っていくと言われています。

 

荒澤 文寛 Arasawa Fumihiro
株式会社ビジネスコンサルタント入社後、各国の責任者を経て、
ベトナム法人を立ち上げ。現ジェネラルダイレクター。
Business Consultants Vietnam Co., Ltd.
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